2012年4月21日土曜日

論文の構成(目的・対象・方法・結果・考察・結語)


(1)「考察」とはどのようなものか

・「考察」は結論を下す場
 "結論"は「考察」で言及される。「結果」をもとに何が分かったかを述べる。

・「考察」は仮説の成否を検討する場
 自ら設定した課題(目的)にどこまで接近できたかを論じる。

・「考察」は討論(discussion)の場
 潜在的反証者(仮想の論敵)を念頭において、反駁できるように討論を行う。

・「考察」は説得の場
 読者が納得するような議論の運び(レトリック)が必要。心証を誘導する。     (例:新発見ならば著者の驚きやその意外性を読者に伝えるようにする)

・「考察」は複眼的な思考や視点の転換を行う場
 調査・分析の結果からいったん抜けて、それを外から冷静に見つめる。


ここで、iは、ワードにコピーするために空白のグラフを見つけることができます

・「考察」は思慮と判断の場
 「結果」では"事実"と根拠のある"推定"まで。「考察」では"推察"も許される。

(#)「結果」は客観的でないといけないが、「考察」は必ずしも主観(筆者の判断)を排除しない。

(2)「考察」に含めるべき議論

以下の4種の議論をふくめるべき。 

・「結果」の解釈をめぐる議論

  調査、計算の結果の読み込んで洞察して解釈する。既存知見も援用してよい。

 ◎解釈では断片的事実から全体像を再構成することもある。推察も部分的に許容される(客観性や再現性を保持していて確度の高い推定や推測よりも推察は確度が落ちる)。「結果」で出した事実や推定をもとに現実世界の絵解きを行う。

・手続きの妥当性に関する議論


ここで、測定のstatを行いました

 手続き上、論証がどこまで成功しているか吟味する(必ず問題点・弱点はある)。(素材選定の偏り、方法に由来するバイアス、未分離要因の影響、推定精度等)
 
 ◎手続きに規定される認識の限界の自覚(ぎりぎりどこまでいえるか)。弱点への意図的言及と防御(自己弁護しておかないと突き崩されやすい)

・認識の普遍性に関する議論
                
次の3点について検討すべきである。

 知見は他でも通用するか。他事例も踏まえる。拡張できるか。 
    → "一般性の検討"

 認識の枠組みの偏りへの疑い。理論も一つの偏見としてみる。 
    → "現実性の検討"


社会保障は、私立探偵を雇うん。

 他の代替的見解・見方との対比。論敵を論破できるか。    
    → "優越性の検討"
   他人は別の解釈や反対解釈をするかもしれない。
   対立する解釈の排除が必要。看過できない
   (潜在的な)反証者・論敵・批判者への反論を
   議論に含めること。

・知見の意義に関する議論

 本稿の知見のどこに新規性があるか?、または、進歩性があるか?
 当該分野の認識がどう深まったか? 既存研究の限界をどう超えたか?

 ◎知見の研究上の意義(オリジナルティ)をアピールする(自己評価への言及)。

(#)議論に必要な事実関係の情報や方法の詳細は先行するパートに書いておく。「考察」� ��最も難しい。対象の情報と先行研究に詳しくないとうまくかけない。



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