人類の起源
エチオピアで発見された精巧な石器の新研究によると、現生人類は従来の説よりも8万年早く進化していた可能性があるという。
この石器はエチオピアのリフト・バレーにあるガデモッタ(Gademotta)遺跡で1970年代に発掘されていたが、今回、新しい年代測定法で調べたところ、約19万5000年前の最古のホモ・サピエンスの骨よりもかなり古いものであることがわかった。
研究チームはアルゴン-アルゴン年代測定法(アルゴン元素の異なる同位体を比較する手法)を使用し、ガデモッタで石器が埋まっていた火山灰層の年代が少なくとも27万6000年前にさかのぼると判定した。
共同研究者でバークレー地質年代学センターのポール・レンネ所長によると、発掘された石器の多くは小さな刃で、その作成手法には複雑な認知能力と器用な手先が必要だと考えられる。
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一部の考古学者たちは、ここで発掘された石器やほかの場所で発見された同様の道具は、現生人類であるホモ・サピエンスの出現に関係付けられるものだと考えている。
共同研究者でカリフォルニア大学バークレー校のリア・モルガン氏は、「われわれ人類はこれまで考えていたよりも早い時期に技術的な進化を遂げていたようだ」と話す。ガデモッタは近くのズワイ湖から新鮮な水が手に入り、黒曜石と呼ばれる硬く黒い火山ガラスの産出地も近いため、人間が居住するには魅力的な場所だった。「黒曜石ガラスは結晶構造が少ないため、道具を作るのに最適な原料の1つだ」とモルガン氏は説明する。
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石器時代の技術は世界の各地で約30万年前に、アシュール文化の大きく粗雑な手斧やつるはしから、中石器時代のより精巧で多様な槍先や手斧へと、飛躍的に発展したと考えられている。
アルゴンの年代測定に基づくと、ガデモッタの北東にあるアファ地域のヘルトなどエチオピアのほかの場所では、この発展が約16万年前に起きており、ガデモッタよりかなり遅かった。考古学者の間では技術は段階的に移行したという推論があるが、幅のある年代はそれを裏付けるものだ。
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「現代に例えると、雄牛の引く馬車から自動車への移行のようなものだ。北アメリカやヨーロッパ北部では実質的に移行が完全に終わった頃、発展途上国ではまだ移行が進行していた」とレンネ氏は話す(同氏は今回のガデモッタの調査でナショナル ジオグラフィック協会の研究・探検委員会から助成金を受けている)。
モルガン氏は、ガデモッタに技術的発展が早く訪れたのは黒曜石が手に入りやすかったためではないかと推測している。
ガデモッタでは骨が発見されていないため、発掘された高度な石器をだれが作ったのか調べるのは難しい。ホモサピエンスだと信じる考古学者もいれば、必要な知能や手先の器用さを持っていたのは他種の人類だと考える考古学者もいる。
いずれにしろ、今回判明した年代をもとに、考古学的記録上の大きなギャップが埋められそうだ。ニューヨーク大学の人類学者クリスチャン・トライオン教授は、「ガデモッタの新しい年代は、人類の進化において行動様式の重要な変化が起きた時期を解明する手掛かりとなる」と述べている。
Photographs courtesy Paul Renne and Leah Morgan
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